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Motivation

ミミズは,のろまな生物である.そう思う人は少なくない.しかし,ミミズは見た目以上に高度な生き物である.環境適応性を考えてみる.パイプのような狭い管はもちろん,後ろ向きに進んだり,粘液を用いて壁を上ることもできる.また穴を掘るのもお手の物である.このように時々刻々と変わる環境にうまく適応しながら生きているのである.原始生物であるミミズが長い間生きてきたのは,環境に順応できたからである.私たちが,このミミズの動きのメカニズムを解明できれば,生物の進化を理解するのに役立つほか,環境に適応した振る舞いを創発する人工物の設計論の確立にもつながる.このようなモチベーションで研究をしている.

Approach

ミミズはどのように環境に適応しているのだろうか.ミミズは多数の体節を巧みに操ることによって推進力を得ている.多種多様な環境に適応するには,脳からの指令のみでは限界が生じる.そこで,それぞれの体節が自律分散的に環境と相互作用して動いているのではないかと仮定した.また,相互作用の際に環境から受ける反力"手応え"を推進に活用しているのではないかと考えた.そこで手応えを活用したミミズの這行運動をモデル化し,実際にミミズのような振る舞いを再現することを試みる.