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Motivation

⾸⻑⻯は,中⽣代に栄えた⽔棲の絶滅動物です.彼らは,⾮常に⻑い⾸や⼤きなヒレ状の四肢といった,現⽣⽣物には⾒られない独特なボディプランを有しています.この独特なボディプランの獲得は,⾸⻑⻯類の化⽯が世界中から発⾒され,⻑い⽣存期間(約1億3千万年間)と⾼い多様性(70 属:⽔棲爬⾍類の中で最多)を⽰すことから,⽔中への適応に優れた進化の⼀つであったと考えられています.私たちは,彼らの遊泳様式をロボットにより復元することで,⽣物の運動機能進化の過程の解明や優れた遊泳性能を有する⽔中ロボットの実現を⽬指しています.

Approach

私たちは,これまでの研究成果に基づいて,現⽣⽣物に内在する制御原理を⼿掛かりに,絶滅した古代⽣物の運動様式の復元を⽬指す新奇なアプローチから,⾸⻑⻯の遊泳様式の解明に取り組んでいます.その現況として,四脚動物の脚間協調制御メカニズム[1]をもとに,⾸⻑⻯のヒレ間の状況適応的な協調運動の⾃発的⽣成に成功しました[2].本結果は,陸棲爬⾍類から進化したとされている⾸⻑⻯が,進化の過程において脚間協調制御を継承していた可能性が⾼いことを⽰唆しています.現在は,各ヒレ内に備わる複数の運動⾃由度をどのように協調して⽻ばたき運動を⽣み出していたのかについて,ロボットにより検証実験を⾏っています.

[1] Owaki, D., and Ishiguro, A., “ A quadruped robot exhibiting spontaneous gait transitions from walking to trotting to galloping, ” Scientific reports, 7(1), 277, 2017

[2] 佐藤光暁, 福原 洸, ⼩川久介, 佐藤たまき, William Sellers, ⽯⿊章 夫, ”⾃律分散制御の視座に基づく古⽣物の適応的な運動様式の復元⼿法, ” 第 32 回⾃律分散システム・シンポジウム資料, 2A1-4, 2020