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Motivation

チスイコウモリは,鳥類や哺乳類の血液をエサとする生物で,10匹前後の群れを形成する生物です [1,2].彼らは2日間エサを得られないと死んでしまうか弱い生物であるものの,血縁に関係なく,エサにありつけなかった個体に吐き戻した血液を分け与える(フードシェアリング)ことで,10年以上も生き延びることが知られています [1,2].このフードシェアリングは誰にでも行われるわけではなく,彼らは毛繕い(グルーミング)によって友好関係のネットワークを築き,その中でのみフードシェアリングを行うことが知られています[2, 3, 4].我々は,このようなチスイコウモリの社会性が集団の維持に資するメカニズムの本質を抽出し,高いサバイバビリティが要求される工学システムの普遍的な設計論を構築することを目指しています.

Approach

従来のチスイコウモリの行動学的知見を基にシンプルな数理モデルを構築し,シミュレーション実験を通じてモデルの妥当性を検証しています.

[1] A.M. Greenhall, Natural history of vampire bats (CRC Press,2018)

[2] G.S. Wilkinson, Nature 308(5955), 181 (1984)

[3] G.S. Wilkinson, Animal Behaviour 34(6), 1880 (1986)

[4] G.S. Wilkinson, Scientific American 262(2), 76 (1990)